「特例市(20万人以上)を実現し、県西の中核都市を目指す会」の主張には無理・無体が多くあります。
ここではそれについて論じていきます。
結論から言えば、無理です。
理由①岩井市と猿島町の合併が既に決まっています。
(10月7日に県に対し合併を申請しています)
注-リンク先はPDF文書です。
合併してできる「坂東市」は人口5万7千人余り。
残る市町全てで合併しても、20万人には遠く及びません。
(リンク先で、具体的な数字が確認できます。)
理由②もう、時間切れです。
合併特例法は
・05年3月末までに都道府県に合併を申請し
・06年3月までに合併した市町村
に財政優遇措置(合併特例債)を適用するものです。とても3〜4ヶ月で7市町の合併なんかまとまりません。
第一、住民へ周知し理解を求めることも出来ないでしょう。
「7市町合併を!」という一部の方だけで勝手に進めていいのなら、話は別ですが、それでは、地方自治以前に住民不在=非民主主義です。
もっとも、財政優遇措置がいらないなら、いつでも合併はできます。
しかし、新しい市が大きくなればなるほど、公民館などの「住民の融和」を促す設備が必要になります。
したがって、優遇措置の無くなった後の無理やりの大合併は百害あって一利無しです。
ちなみに、古河−総和−三和の合併においては、「できるだけ合併特例債は使わない。そのため市役所は新設しない。
市役所が不足したらプレハブで対応する」そうです。
『〜目指す会』はチラシの中で「合併特例法の期限は1年延長され平成18年3月31日まで。
だから慌てずに古河-総和-三和の小合併はつぶして7市町の大合併を!」という旨の主張をしてますが、これはまやかしです。
正確には、
・05年3月末までに都道府県に合併を申請し
・06年3月までに合併した市町村
に財政優遇措置を適用するものです。
特例市とは、人口が20万人以上の市に都道府県の権限の一部を委譲し、地方分権を推進する制度です。
具体的には以下のような権限が委譲されます。(総務省サイト:
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/tokurei.html より)
(1) 騒音を規制する地域の指定、規制基準の設定、関係行政機関の長への協力要請等(騒音規制法関係)
(2) 悪臭原因物の排出を規制する地域の指定、規制基準の設定、公示、周辺市町村長の意見聴取、関係行政機関の長への協力要請等(悪臭防止法関係)
(3) 振動を規制する地域の指定、規制基準の設定、関係行政機関の長への協力要請等(振動規制法関係)
(4) 指定物質排出者に対する指導、助言及び勧告、報告徴収(瀬戸内海環境保全特別措置法関係)
(5) 特定施設の設置の届出等の受理、計画変更命令等、常時監視、公表、報告徴収、立入検査等(水質汚濁防止法関係)
(6) 計量法に基づく勧告、定期検査等(計量法関係)
(7) 汚水等排出施設を設置している工場に係る特定事業者が公害防止統括者を選任したとき等の届出の受理等(特定工場における公害防止組織の整備に関する法律関係)
(8) 都市計画の決定又は変更にあたっての土地の試掘等の許可等(都市計画法関係)
(9) 開発行為の許可等(都市計画法関係)
(10) 都市計画施設又は市街地開発事業の区域内における建築の許可(都市計画法関係)
(11) 都市計画事業の施行地区内における建築等の許可(都市計画法関係)
(12) 宅地造成工事規制区域の指定等、宅地造成工事許可等、規制区域内の所有者等への勧告、改善命令等(宅地造成等規制法関係)
(13) 拠点整備区域内における建築行為等の許可等(地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律関係)
(14) 被災市街地復興推進地域内における建築行為等の許可等(被災市街地復興特別措置法関係)
(15) 市街地再開発促進区域内における建築の許可等(都市再開発法関係)
(16) 市街地再開発事業の施行地区内における建築等の許可等(都市再開発法関係)
(17) 土地区画整理事業の施行地区内の建築行為の許可、許可に当たっての施行者に対する意見聴取、原状回復命令、代執行(土地区画整理法関係)
(18) 土地区画整理促進区域及び住宅街区整備促進区域内における建築行為等の許可等(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法関係)
(19) 住宅地区改良事業の改良地区内における建築等の許可等(住宅地区改良法関係)
(20) 都市計画区域内における路外駐車場管理者からの届出、報告徴収、立入検査等及び駐車場管理者に対する是正命令(駐車場法関係)
これらの権限が、無理・無体な主張を押し通してまで手に入れる必要があるものでしょうか?
特例市ほどではありませんが、茨城県では 「 まちづくり特例市分権支援事業」(総務省サイトのPDF文書にリンクします)
というものを用意しています。
これによると、人口10万人以上の市(合併した新市の場合は5万人以上)に対し、以下の個性豊かなまちづくり1分野を含む
2分野以上の事務権限を選択し、受け入れる市を「まちづくり特例市」として指定し、当該市に対して一括して事務権限を
移譲するそうです。
(1)個性豊かなまちづくり〈必須〉6法令に基づく63事務
農地転用の許可、開発行為及び建築行為の許可など
※農地に店舗等を建築する場合に、県を介さずに市で許可事務が完結するようにな
るとともに、事務処理の迅速化が図られる。
(2)住み良いくらしづくり<選択〉6法令に基づく11事務
身体障青者手帳の交付、認可外保育施設に対する立入検査など
(3)活カある産業づくり〈選択〉6法令に基づくユ9事務
計量法に基づくガソリンスタンド等への立入調査、電気用品の販売業者に対する
立入検査など
これならば、新・古河市はもちろん坂東市も適用対象になり、自主的な街づくりが可能になります。
まず、繰り返しになりますが、坂東市ができる以上、もはや特例市はありえません。
また、既に20万人以上の人口を持つ2番目の市が誕生しています。
日立市と十王町が合併した新・日立市です。人口は11月1日現在の速報値で201,869人。
次に20万人を越すのは、既に19万8千人以上の人口を抱え、つくばエクスプレス開業も間近なつくば市でしょう。
「〜目指す会」も「特例市」という主張をやめるか、少なくとも”県内二番目”という看板は修正するべきです。
そんなことはありません。
人口減、高齢化、交付金削減等の問題に対応すべく、今後この地域をどうすべきかを、真剣に3市町で検討しています。
検討結果は回覧版でもまわっていると思います。HPでも確認できます
(トップページのリンクにある「古河市・総和町・三和町 合併協議会」をみて下さい。)
「この地域をどうするか」という大きな問題がまとまっていけるのも、古河−総和−三和が一つの生活圏だからです。
このような大テーマが、「〜目指す会」の主張する7市町も集まって検討して、果たしてまとまるのでしょうか。
まとまれるなら、なぜ、2002年5月24日に設置された「猿島地域市町村合併懇話会」がわずか10ヶ月後の2003年3月26日に解散したのでしょうか。
彼らはこの現実を無視して、自分たちの主張を力任せにごり押ししようとしているだけではないでしょうか。
既に話し合いを持っています。
「猿島地域市町村合併懇話会」というものが、2002年(平成14年)5月24日に設立されました。
7市町の首長及び議会議長等21人で構成され、合併推進についての調査・研究を行いました。
結果『2市5町による合併は、長期的な取り組みであるため、当面できるところから合併を進める。
』ということになり、
この懇話会は10ヵ月後の2003年(平成15)3月26日に解散しました。
各市町では「住民アンケート」や「地域懇談会」などを通じ、住民の意見を聞いた上で、古河−総和−三和、境−岩井−猿島の
組み合わせで合併協議が進んでいったのです。そして五霞町は住民の意見により埼玉県幸手市に合併を申し込んだのです。
例えば古河市の場合、市民に郵送によるアンケートを行いました。
結果は、「特例法の期限内に合併すべき」48.6%、「将来的に合併すべき」32.0%、計80.6%の人が「合併すべき」と答え、
合併パターンとして、古河−総和32.2%、古河−総和−三和28.2%に対し、境や岩井は「その他」の5.2%に埋没しています。
実現が難しい越境合併になるパターンの古河−総和−野木がその倍の11.1%の支持を得ているのをみれば、
「生活圏」を無視した合併は、住民がまったく望んでいないことは明白です。
一部の力(と金)のある方々の思惑で(ひょっとすると、本当に、利権絡みなのかも知れませんが…)、住民の希望とは違う
合併を、真実を隠してまで実現しようとすることに、住民にとって何かいいことがあるのでしょうか?